名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2067号・昭25年(う)2068号 判決
原判決は、「被告人土屋栄一は、法定の除外事由がないのに、被告会社の業務に関し、昭和二十四年八月十二日頃、岐阜県安八郡下 村字落合五〇五番地農業名和佐之吉外三十名位より、同人等が生産した岐阜県産紫雲英種子合計八石八斗を統制額より金四万七千七百四十円(大晩生一等一石七千七十五円と算定)超過した代金十一万円(一石一万二千五百円の割)で買い受けたものである。」と判示している。右判示によると、各買い先の名和佐之吉外三十名位から各買い受けたのであるから、勿論併合罪と認定したのであろうが、併合罪であれば、一の行為を他の行為と区別し得るように、誰れから、判示物件のいか程の数量を、どこで、いくらで各買い受けたかを明示しなければならないのに、原判決は、これが明示を欠き、全然不明である、よつて原判決には事実理由が十分でない。尚起訴状によれば「名和佐之吉外数十名より同人等が生産した岐阜県産紫雲英種子合計八石八斗を統制額より四万九千八百十円超過した代金十一万円で買い受けものである。」と謂うのであるから、前段説示のとおりの趣旨に従つて、原審は検察官に対し、併合罪構成の数十の犯罪の訴因を明にするために適当な釈明をなすの要ありしに拘らず、之れが釈明をした形跡はないから、原判決は訴訟手続に法令の違反があつて、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである。